国際税務コラム

シンガポール個人所得税

日系企業がシンガポール駐在員にストックオプションを付与した場合

日系企業がシンガポール駐在員にストック・オプションを付与した場合

日系企業がシンガポールに赴任している従業員に対してストック・オプションを付与した場合のシンガポールにおける所得税の取扱いをご紹介します。

ストック・オプションの付与がシンガポール赴任前であれば、そもそもシンガポールで課税対象にはなりません。

ストック・オプションの付与がシンガポール赴任後に行われた場合は、シンガポールにおいて確定申告等を行う必要があるため注意が必要です。

シンガポール赴任後にストック・オプションが付与された場合、付与・権利確定・権利行使・株式売却のどの時点で課税されるのか整理していきたいと思います。

(参考)IRASウェブサイト『Stock Options』

 

ストックオプション付与・権利確定時

シンガポールでは、ストック・オプションの権利行使時に課税されます。つまり、ストック・オプションの付与時点、権利確定時点では課税対象にはなりません。

 

ストック・オプション権利行使時

前述の通り、シンガポールではストック・オプションは権利行使時に課税されます。

所得金額の計算方法は下記の通りです。

『所得金額』=『権利行使時の株式の時価』−『権利行使価額』

上記の所得金額は、権利行使をした暦年の課税所得に含めて確定申告する必要があります。

例えば、権利行使日が2016年7月であれば、2016年分(2016年1月1日〜2016年12月31日)の課税所得に含めて、申告期限(2017年4月中旬)までに確定申告することになります。

 

株式売却時

シンガポール居住者として株式を売却した場合は、シンガポールではキャピタルゲインとして非課税になります(ただし、事業として株式売買を行っている場合には課税対象になります)。

なお、日本での課税関係については状況によって異なってくるため、日星租税条約も含めて詳細の検討が必要ですのでご留意ください。

 

権利行使前に日本へ帰国した場合の取扱い

シンガポール国籍を有しない駐在員などが、権利行使前である2016年5月に日本へ帰国することになった場合、シンガポールでは課税されないか、というとそうではありません。『Deemed Exercise Rule』により課税されることになります。

みなし所得金額の計算方法は下記の通りです。

『みなし所得金額』= 『A』−『B』

『A』= 下記のうちいずれか遅い日の株式の時価

  ①シンガポールでの雇用終了日の1ヶ月前

  ②ストックオプション付与日

 

『B』= ストックオプション権利行使価額

 

実際の所得金額がみなし所得金額よりも少なかった場合

帰国後に権利行使をした際の実際の所得金額が上記方法により計算した『みなし所得金額』よりも少ない場合には、従業員は賦課決定のやり直しを申請することができます。

ただし、申請ができるのは帰任日の翌年から4年以内のため注意が必要です。

 

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