ラブアン法人の税制(法人税・個人所得税・源泉所得税・印紙税等)【2018-2019年最新】
※現在弊社ではラブアン法人(またそれに絡む国際税務)のご相談は承っておりません。お電話やウェブサイトフォームからお問い合わせ頂いても対応でき兼ねますので、予めご了承ください。あくまでもラブアンに関する一情報としてお読み頂ければ幸いです。
目次
ラブアン法人の税制
ラブアン法人(Labuan Companies Act 1990に基づいて設立された法人)は通常のマレーシア国内の税制ではなく、Labuan Business Activity Tax Act 1990 “LBATA”という優遇税制が原則として適用されます。
以下、LBATAに規定されているラブアン法人に対する法人税・所得税の概要をご紹介します。
ラブアン法人の法人税
ラブアン法人はLBATAに規定されている通り優遇税制が適用される可能性がありますが、適用されるにはその行う事業活動が『Labuan business activity』である必要があります。
Labuan business activityとは、下記条件にてLabuanにて行われる「Labuan trading」又は「Labuan non-trading activity」を言います。
- マレーシアリンギット以外の通貨で行われていること
- マレーシア非居住者との取引であること、つまりマレーシア法人やマレーシア居住者との取引ではないこと(ラブアン法人同士の取引はok)
原文はこちら
“Labuan business activity” means a Labuan trading or a Labuan non-trading activity carried on in, from or through Labuan in a currency in a currency other than Malaysian currency, by a Labuan entity with non-resident or with another Labuan entity: provided that….(以下省略)
つまり、マレーシア法人との取引やマレーシアリンギットで行われる事業などについては、原則として優遇税制は適用されないということになります。
例えばマレーシア国外の法人との取引など上記の条件を満たしたLabuan business activityについては、さらに下記の通り大きく二つに分かれます。それぞれ法人税の取扱いが変わってきます。
- Labuan trading activity
- Labuan non-trading activity
Labuan trading activity
Labuan trading activityとは、Banking、insurance、trading、management、licensing、shipping operations、その他Labuan non-trading activityには該当しない活動を言います。
Labuan trading activityに該当する場合は、納める法人税について下記のいずれかを選択適用できます。
- 監査後の利益(net audited profits)の3%、又は
- 年間20,000リンギット(約55万円)
年間20,000リンギットの法人税を支払うことを選択した場合には会計監査も免除されます。
→ 2018年11月に公表された『マレーシア2019年度予算案』の中で、2019年以降について、年間20,000リンギット(約55万円)の廃止、また会計監査も原則として必要になる、ということが発表されました。従って、2019年以降は、監査後の利益(net audited profits)の3%の法人税が課税されることになりそうです。いずれにしましても、3%という法人税は極めて低税率と言えますが、会計監査も必要になることから、今後は事務的な負担が増えることが予想されます。今後、近いうちに実務的なガイドラインがLabuan FSAから公表されると考えられます(2018年11月18日時点)。
Labuan non-trading activity
Labuan non-trading activityとは、securities、stock、shares、loans、depositsその他の資産への投資に係るholding activityを言います。つまり、株式等の資産のホールディングカンパニーを指します。
Labuan non-trading activityに該当する場合には、法人税は非課税となりますので、納税は一切生じません。
また、法定監査も必要とされません。
Labuan trading activityとnon-trading acitivityの両方を行っている場合
両方のActivityを行っている場合には、Labuan trading activityを行っているものとみなされます。
つまり、下記のいずれかを選択することになります。
- 監査後の利益(net audited profits)の3%、又は
- 年間20,000リンギット(約55万円)
→ 2018年11月に公表された『マレーシア2019年度予算案』の中で、2019年以降について、年間20,000リンギット(約55万円)の廃止、また会計監査も原則として必要になる、ということが発表されました。従って、2019年以降は、監査後の利益(net audited profits)の3%の法人税が課税されることになりそうです。いずれにしましても、3%という法人税は極めて低税率と言えますが、会計監査も必要になることから、今後は事務的な負担が増えることが予想されます。今後、近いうちに実務的なガイドラインがLabuan FSAから公表されると考えられます(2018年11月18日時点)。
配当・利子・使用料に係る源泉所得税
ラブアン法人から非居住者や他のラブアン法人に支払われる使用料、利子、配当等に係る所得税は原則として免税とれており、源泉所得税は非課税となります。
ラブアン法人のDirectorに対する個人所得税
外国人のDirectorに対する役員報酬
原則としてマレーシア国内の所得税法が適用されますが、ラブアン法人のDirectorが外国人(A non-citizen)である場合には、その外国人のDirectorに対する役員報酬は免税とされています。
マネジメントポジションの外国人の給与所得
また、マネジメントポジション(Managerial capacity)の外国人が受取る給与所得についても、50%が免税とされます。
なお、日本人がラブアン法人で就労ビザを取得する場合、
就労ビザを取得する方の給与は月額RM10,000(又は外国通貨でその相当額)以上である必要があります。
つまり、年間RM120,000(約3,240,000円)以上の給与の支払いが必要ということになります。
上記の通り、役員報酬は全額非課税とされますが、ラブアン法人から就労ビザを申請する場合には年間RM120,000(約324万円)の給与を支払う必要があります。その分は給与所得として50%が免税とされ、半分のRM60,000(約162万円)が課税所得となります。
YA2018の税率で計算すると、RM3,200(約8.5万円)の所得税が課税される計算になります。
ラブアン法人の就労ビザ取得についてはこちらをご参照下さい。
※なお、ラブアン法人の従業員であるマレーシア人に対しても、一定の優遇税制が用意されています。
受取配当金
ラブアン法人から配当を受け取ったとしても、配当は免税とされているため課税されません。
上記の通り、ラブアン法人が配当を支払う際にも源泉所得税はありません。
その他の税制
消費税・関税などの間接税(Indirect tax)
消費税や関税などの間接税(Indirect tax)はありません。
印紙税(Stamp duty)
印紙税(Stamp duty)もラブアン法人は課税されません。
ラブアン法人の租税条約
最後にラブアン法人の租税条約についてご紹介したいと思います。
ラブアンはマレーシアの一部ですので、まずはマレーシアが締結している租税条約を確認することになります。
(参照:外部英語サイト)Inland Revenue Board Of Malaysia【Double Taxation Agreement】
注意が必要なのは日本、オーストラリア、イギリス、オランダなどいくつかの国との租税条約においては、ラブアン法人は適用除外とする旨が規定されているため、ラブアン法人との取引については租税条約が適用できません。
※現在弊社ではラブアン法人(またそれに絡む国際税務)のご相談は承っておりません。お電話やウェブサイトフォームからお問い合わせ頂いても対応でき兼ねますので、予めご了承ください。あくまでもラブアンに関する一情報としてお読み頂ければ幸いです。