国際税務コラム

シンガポール法人税

シンガポール法人の税務上の居住法人・非居住法人の違い(メリット・デメリット)

シンガポール法人は居住法人・非居住法人に区分される

シンガポール法人は税務上、居住法人(Tax resident)又は非居住法人(Non-resident)に区分されます。

非居住法人と認定された場合には下記のようなデメリットがあるため、どちらに該当するかは非常に重要になります。

 

非居住法人と認定された場合のデメリット

非居住法人の場合は、下記のような国外源泉所得の取扱いについて影響が生じるため、通常居住法人の方が有利となります。

 

① シンガポールが締結している租税条約の適用を受けることができない(※1)

② Income Tax Act section 13(8) に基づく国外源泉所得の免税規定の適用を受けることができない(※2)

③ 新設法人免税スキームの適用を受けることができない(※3)

④ 外国税額控除の適用を受けることができない

 

(※1) シンガポールが締結している租税条約については「シンガポールは何か国と租税条約を締結しているか?」をご覧下さい。

(※2) 例えばシンガポール国外における受取配当金について一定の条件を満たしていればシンガポールで課税されません。詳細は「シンガポールでは受取配当金は非課税?」をご覧下さい。

(※3) 新設法人の課税所得について、設立から3賦課年度に渡って、部分的に免税となる制度があります。詳細は「シンガポールの法人税実効税率はどのくらい?」をご覧下さい。

 

では、居住法人と非居住法人はどのように区分されるのか?

上述の通り、非居住法人となった場合にはいくつかデメリットが生じてしまうため、通常「居住法人」でありたいと思うところです。

それでは、居住法人と非居住法人はどのように区分されるのでしょうか。

シンガポールに現地法人を設立したからと言って、その法人が税務上の居住法人に必ずしも該当するわけではありません。

シンガポールでは、居住法人・非居住法人は「Where the business is controlled and managed」、つまりどこでビジネスの意思決定が行われているかで区分されることになります。

“Control and management”がシンガポールで行われている場合には「居住法人」に該当し、そうでない場合には「非居住法人」に該当することになります。

“Control and management”とは、会社としての経営戦略の意思決定を指します。

そして、どこでこの”Control and management”が行われているかで居住法人か非居住法人に区分されることになりますが、それはその意思決定が行われる取締役会がどこで行われたかどうかが重要な判断ポイントとなります。

また、この居住法人・非居住法人の区分は賦課年度ごとに判定されることになります。