シンガポール現地法人の簡易的清算手続き【Strike off (ストライク・オフ)】とは?
シンガポール現地法人の清算方法
シンガポール現地法人の清算には下記のような種類があります。
(1)裁判所の命令に基づく強制清算
(2)会社が自発的に行う任意清算
① 株主による任意清算
② 債権者による任意清算
(3)ACRAによる登記抹消(ストライク・オフ)
(1)強制清算と(2)の任意清算が原則的な方法となります。これらの方法は、通常1年以上かかる大がかりな清算手続きが必要になります。
一方で、一定の条件を満たしている場合には、簡便的にACRAによる登記抹消(ストライク・オフ)により、清算を行うことができます。
この場合は、通常の清算手続きと比較すると簡便、かつ、早く清算することが可能になります。
今回は、この簡便的な方法であるストライク・オフの要件をご紹介したいと思います。
ストライク・オフを申請できる条件
上記の通り、ストライク・オフを申請できれば、通常の清算手続きよりも圧倒的に早く、簡便的に清算が可能になりますが、ストライク・オフの清算には下記の条件を全て満たしている必要があります。
① 設立以後事業活動を行っていない、又は事業を停止して休眠状態であること。
② 係争中の訴訟案件がないこと(シンガポール国内だけでなく、国外も含む)。
③ 資産・負債を有していないこと。
④ 未払法人税、CPF、その他政府等への未払債務がないこと。
⑤ 過半数の株主の同意を得ていること。
下記、ACRAウェブサイトに記載されている要件の原文です。
• The company has not commenced business since incorporation or has ceased trading.
• The company has no assets and liabilities (current/future).
• The directors have obtained the written consent of the majority of the shareholders.
• The company has submitted the last set of audited accounts (only for a public company limited by guarantee) OR the latest unaudited balance sheet (for all other companies).
• The company has no outstanding tax liabilities with IRAS.
• The company has no outstanding employers’ CPF contributions owing to the Central Provident Fund Board (CPFB)
• The company has no outstanding debts owed to any other government agency.
• There are no outstanding charges in the charge register.
• The company is not involved in any court proceedings (within or outside Singapore).
ストライク・オフ申請の流れ
上記の要件を満たしている場合には、いざACRAに対してストライク・オフの申請を行うことになります。
申請後の流れは下記の通りです。
申請後、少なくとも4ヶ月程度要します。
① ACRAへストライク・オフの申請(オンラインでの申請)
② ACRAによる承認後、レターが会社住所、取締役・カンパニーセクレタリ―、IRAS、CPF Boardに郵送される
③ 異議申し立て(Objection)がない場合、ACRAは「Government Gazette(官報)」に会社名を公表します。これを「First Gazette Notification」といいます。
④ 「First Gazette Notification」の後60日間、異議申し立てがない場合、ACRAは再度「Government Gazette(官報)」に会社名及びその社名が登記抹消されること、そして登記抹消予定日を公表します。これを「Final Gazette Notification」といいます。
異議申し立てがあった場合
異議申し立てがあった場合には、会社はその解決に2ヶ月間与えられます。
もし、2ヶ月以内に問題を解決できない場合には、ストライク・オフの申請は失効されます。
その場合には、問題を解決後、改めてストライク・オフを再申請しなければなりません。
ストライク・オフを申請できる者
ACRAへのストライク・オフ申請は、会社のDirectorやCompany Secretaryだけでなく、セクレタリーサービスを行っているエージェントを通して行うことも可能です。
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