地方創生応援税制 『企業版ふるさと納税』の創設
企業版ふるさと納税
地方公共団体が行う一定の地方創生事業に対する企業の寄附について、現行の損金算入措置に加えて、法人住民税、法人事業税、法人税の税額控除の優遇措置を新たに講じて、地方創生に取り組む地方を応援する『地方創生応援税制』が平成28年度税制改正で創設されました。
いわゆる、『企業版ふるさと納税』です。
まずは、現行の損金算入措置を確認したいと思います。
現行の寄附金損金算入措置
現行の制度では、国・地方公共団体に対する寄附金及び公益社団法人、公益財団法人等に対する寄附金のうち財務大臣が指定したものについては、支出金額の全額を損金算入することができます。
企業の状況によって異なる可能性がありますが、法人実効税率が30%程度であれば、寄付金の額のうち約30%は税金が少なくなるため、約3割の軽減効果があることになります。
各地の地方創生の取組の実効性を高めていくためには、従来の施策(約3割の軽減効果)に加 えて、地方創生事業に対する民間資金の新たな流れを巻き起こすことが必 要という背景から、企業版ふるさと納税が創設されました。
現行の地方 公共団体に対する法人の寄附に係る損金算入措置による軽減効果(約3割)に加えて、寄附額の3割に相当する額の税額控除の特例措置がなされます。
つまり、合計で寄附額の約6割に相当する額が軽減されることになります。
それでは、企業版ふるさと納税制度の詳細を見ていきたいと思います。
税額控除の特例措置
地方税法及び租税特別措置法に基づき、内閣府が認定した「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」に対する寄附を行った青色申告法人に対し、寄附額の3割に相当する額の税額控除の特例措置がなされます。
平成28年4月20日から平成32年3月31日までの間にされた寄附金が対象になります。
① 法人事業税
控除額: 寄附金額 x 10%
控除限度額: 法人事業税額の20% (地方法人特別税廃止後は15%)
② 法人住民税
控除額: 寄附金額 x 20%
控除限度額: 法人住民税法人税割額の20%
③ 法人税
控除額: 次のいずれか少ない金額
・ ② 法人住民税で控除しきれなかった金額
・ 寄附金額 x 10%
控除限度額: 法人税額の5%
対象となる寄附金
認定地方公共団体に対して、その認定地方公共団体が行った、まち・ひと・しごと創生寄附活用事業に関連する寄附金が対象となります。また、1法人における1事業当たりの寄附額の下限額は10万円となっており、利用しやすい制度設計になっているといえます。
ただし、その寄附をした者がその寄付によって設けられた設備を専属的に利用することその他特別の利益がその寄附をした者に及ぶと認められる場合には対象となりません。
また、主たる事務所が立地する地方公共団体に寄附を行う場合も企業版ふるさと納税の対象となりません。
地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の対象事業はこちらで確認できます。
【平成28年8月2日現在】地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の対象事業
留意点
「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」へ寄附を行うことの代償として経 済的な利益を受け取ることは禁止されているため注意が必要です。
また、税額控除の特例の適用を受けるためには、確定申告書に明細書を添付し、かつ、特定寄附金に該当することを証する一定の書類を保存する必要があります。
【月刊 国際税務ニューズレターのご案内】
国際的に活躍するすべての方を対象に月に一度のニューズレター(無料)を発行しております。よくある国際税務Q&Aやシンガポール情報にご興味がある方は、ぜひご活用頂ければ幸いです。
*********************************************
※下記につきましては、どうぞお気軽にお問い合わせ下さい。
✔︎国内・国際税務顧問をお探しの方
✔︎起業・法人設立を検討されている個人事業主・小規模企業の方(創業時から国際税務の観点からスキーム提案等のお手伝いをさせて頂きます。)
✔︎2国間以上の国際取引に係る税務のご相談
✔︎海外移住者・転勤者のための納税管理人
✔︎非居住者への源泉所得税
✔︎シンガポール移住・進出
まずは状況をお伺いしお見積書を作成させて頂きます(初回のお打ち合わせ及びお見積書の作成は無料となります)。