シンガポール子会社への出資形態【資本金と貸付金の違い】
シンガポール子会社への出資形態
日本法人がシンガポールに100%子会社を設立した場合、シンガポール子会社に資本金として出資するか(シンガポールには資本準備金はありません)、貸付金として運営資金を送るか迷うことがあります。
シンガポール現地法人の資本金額はいくらにするか?はこちらをご覧下さい。
資本金の場合、国によっては減資に制限があり、その回収が困難になるケースもあります。
そのような背景から海外子会社への出資はできる限り資本金ではなく、回収がしやすい貸付金としたい、というご相談も多くあります。
シンガポールについては減資について制限があるわけではありませんのであまり気にする必要はないかもしれませんが、減資は所定の段取りを経る必要があり、貸付金の方が回収はしやすいと言えます。
それでは、シンガポール子会社を設立した場合を例に、資本金ではなく貸付金とした場合の留意点を見ていきたいと思います。
貸付金とした場合には、下記の2つについて注意が必要です。
①移転価格税制(支払利息の金額が妥当か?)
②源泉所得税(租税条約の適用があるか確認しているか?)
移転価格税制(関連者間ローン)
貸付金とする場合には、利息が生じることになりますが、シンガポール法人が日本の親会社に支払う利息の『金額』について留意する必要があります。
シンガポールにも移転価格税制があり、その支払利息について『シンガポール移転価格ガイドライン(英語)』に従って、その額を決定する必要があります。
金額の妥当性については必ず専門家に確認した方が良いでしょう。
支払利息を支払う際の源泉所得税
シンガポール法人が非居住者に利息を支払う際には原則として15%の源泉徴収をする必要があります。
また、源泉徴収した金額について、利息の支払い日の翌々月の15日までに申告(Form IR37)と支払をする必要があります。
※2016年7月1日以降は紙での申告は認められないため、電子申告する必要があります。
租税条約の適用には居住者証明が必要
上述の通り、非居住者への利息の支払は原則15%の源泉が必要になりますが、租税条約がある場合、その額が減免される可能性があります。
日本とシンガポール間の租税条約にも支払利息の規定があり、最大10%と規定されていますので、適用されれば15%ではなく源泉税率は10%となります。
租税条約の適用を受けるためには、日本の親会社が日本において『居住者証明(Certificate of Residence)』を取得し、それをシンガポールの税務当局に提出しなければならないため、ご注意下さい。
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