【租税条約】短期滞在者免税とは?
非居住者が日本国内での勤務に基づいて得る給与に対する課税
非居住者が日本国内で勤務したことによる対価として得る給与については、日本の所得税法に基づき、原則として、国内源泉所得として日本での課税対象になります。
基本的には、非居住者に対する日本国内での勤務に起因するその給与の支払いについては、20.42%の源泉徴収が必要になります。
(参考)国税庁ウェブサイト(外部)
ただし、日本が「租税条約」を締結している国の居住者が日本で短期的に行うものについては、一定の要件を満たす場合、免税とされることがあります。それが、いわゆる「短期滞在者免税」と呼ばれるものです。
その内容は国によって多少異なることがあるため、必ず「短期滞在者免税」となる要件については租税条約を確認する必要があるでしょう。
日本の居住者が海外に出張する場合も同様
日本の居住者が海外に出張して、海外での勤務に基づいて給与が支払われる場合はその勤務を行った国の規定に従って、所得税が課税されます。
ただし、上述の通り、その出張先の国と日本との間で租税条約が締結されており、「短期滞在者免税」の要件を満たす場合には、所得税が免税となる可能税があります。
従って、「短期滞在者免税」の規定は、外国人が日本に出張するケースだけでなく、日本から海外に出張する場合には重要になります。
以下、いくつかの国との租税条約をご紹介したいと思います。
アメリカとの租税条約
日米租税条約にも、「短期滞在者免税」の規定はあります。以下の3つの要件を全て満たす場合には免税となります。
日米租税条約第14条2項
タイとの租税条約
日本とタイとの租税条約にある「短期滞在者免税」の要件は、日米租税条約の「短期滞在者免税」の要件と少し異なっています。
183日ではなく180日となっており、さらにタイの場合は「暦年」での判定になりますので、同じ条件でタイとアメリカに出張した場合、タイでは免税になるが、アメリカでは課税されるというケースも考えられます。
日本・タイ租税条約第14条1項
2017年1月1日から適用が開始される台湾との租税協定では?
最近話題となっている、台湾との租税協定でも「短期滞在者免税」の規定はあるのでしょうか。
日台租税協定でも下記の通り、「短期滞在者免税」の規定がありますので、台湾への出張についても下記の要件を満たしていれば免税となる可能性があります。
日台租税協定の第15条2項
1の規定にかかわらず、一方の地域の居住者が他方の地域内において行う勤務について 取得する報酬に対しては、次の(a)から(c)までに規定する要件を満たす場合には、当該一 方の地域においてのみ租税を課することができる。
(a) 当該暦年において開始し、又は終了するいずれの12箇月の期間においても、報酬の 受領者が当該他方の地域内に滞在する期間が合計183日を超えないこと。
(b) 報酬が当該他方の地域の居住者でない雇用者又はこれに代わる者から支払われるも のであること。
(c) 報酬が当該他方の地域内に雇用者が有する恒久的施設又は固定的施設によって負担 されるものでないこと。
(参考)所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための 公益財団法人交流協会と亜東関係協会との間の取決め
*********************************************************
【弊社でのサポート】
弊社では、国際税務に関する下記のようなサポートを行っておりますので、お困りの際はお問い合わせフォームよりご連絡下さい。
・ 海外取引のある中小企業の 日本 / シンガポールにおける記帳代行から法人税申告書作成までの税務顧問ワンストップサポート
・ クロスボーダー取引に係る源泉所得税や租税条約等の国際税務コンサルティング
***********************************************************
【Shimada & Associates 国際税務メルマガ】
国際的に活躍するすべての方を対象に月に一度のメルマガ(無料)を発行しております。よくある国際税務Q&Aやシンガポール情報にご興味がある方は、ぜひご活用頂ければ幸いです。
***********************************************************