国際税務コラム

国際税務

非居住者が購入した場合の住宅ローン控除適用の緩和

住宅ローン控除の概要

住宅借入金等特別控除(いわゆる住宅ローン控除)とは、『居住者※』が住宅ローン等を利用して、マイホームの新築、取得又は増改築等(以下「取得等」といいます。)をし、平成31年6月30日までに自己の居住の用に供した場合で一定の要件を満たす場合において、その取得等に係る住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を、居住の用に供した年分以後の各年分の所得税額から控除するものです。

※【平成28年税制改正】平成28年4月1日以後は、非居住者が購入した場合も一定の要件を満たせば適用できるようになりました。

(参考)国税庁ウェブサイト タックスアンサー

 

マイホーム取得後に海外転勤することになった場合

住宅ローン控除の適用を受けるための要件の一つとして、居住者(「非居住者」が平成28年4月1日以降に住宅の取得等をした場合を含みます。)が住宅ローン等を利用して「住宅の取得等」をした日から6か月以内にその者の居住の用に供し、かつ、その年の12月31日まで引き続きその者の居住の用に供していることが必要とされています。

しかし、家屋の所有者が、転勤等のやむを得ない事情により、その住宅の取得等の日から6か月以内にその者の居住の用に供することができない場合や年末まで引き続き居住することができない場合もあります。

このような場合であっても、一定の要件を満たす場合に限り、住宅ローン控除の適用を受けることができます。

例えば、下記のような場合です。

 

<例1>単身赴任等の場合

家屋の所有者が、転勤、転地療養その他のやむを得ない事情により、配偶者、扶養親族その他生計を一にする親族と日常の起居を共にしない場合において、その住宅の取得等の日から6か月以内にその家屋にこれらの親族が入居し、その後も引き続き居住しており、当該やむを得ない事情が解消した後はその家屋の所有者が共にその家屋に居住することと認められるときは、その家屋の所有者が入居し、その後もその家屋の所有者が引き続き居住しているものとして取り扱われ、この特別控除等の適用を受けることができます。

住宅借入金等特別控除等の規定では、「居住者」が住宅の取得等(「非居住者」が平成28年4月1日以降に住宅の取得等をした場合を含みます。)をし、居住の用に供した場合に限り、この特別控除等の適用を受けることができるとされています。

 

<例2>住宅借入金等特別控除等の適用を受けていた者が、家族と共にその家屋を居住の用に供しなくなった場合(再び居住の用に供した場合の再適用)

その者が居住の用に供しなくなった日の属する年以降、住宅借入金等特別控除等の適用は受けられませんが、次の全ての要件を満たす場合は、その家屋を再び居住の用に供した日の属する年(その年において、その家屋を賃貸の用に供していた場合には、その年の翌年)以後、残存控除期間につき、この特別控除の再適用を受けることができます。

 イ 勤務先からの転任の命令その他これに準ずるやむを得ない事由があること。

 ロ 平成15年4月1日以降に、その家屋をその者の居住の用に供しなくなったこと。

 ハ 家屋を居住の用に供しなくなる日までに、一定の手続を行っていること。

 

(参考)国税庁ウェブサイト タックスアンサー

 

【改正前】居住者が取得しなければならなかった

上記の説明でもあります通り、前提として住宅ローン控除は『居住者』が住宅ローンを組んでマイホームを購入等した場合にのみ適用できるものでした。

海外転勤から帰国した際にも再度住宅ローン控除を適用できるという例外規定も、そもそも『居住者』がマイホームを購入していなければ適用できませんでした。

つまり、非居住者(例えば、海外転勤した者)が将来日本へ帰国した時に住むためのマイホームを購入したとしても、その購入時は非居住者であるため、このような場合、今までは住宅ローン控除を適用することができませんでした。

しかし、平成28年度税制改正により非居住者がマイホームを購入した場合でも現行の居住者が満たすべき要件と同様の要件を満たせば、住宅ローン控除の適用を受けられるようになりました。

居住者・非居住者とは

 

【平成28年度税制改正】非居住者に係る住宅ローン控除適用の緩和

下記の措置について、海外に住んでいる間に(非居住者の時に)住宅の取得等をしても、居住者が住宅の取得等をする場合と同様の要件を満たせば、住宅ローン控除が使えるようになります。

① 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除

② 特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例

③ 既存住宅の耐震改修をした場合の所得税額の特別控除

④ 既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除

⑤ 認定住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除等

 

適用開始時期

この改正は、非居住者が平成28年4月1日以後に住宅の新築若しくは取得又は増改築等をする場合について適用されます。

 

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