【タックスヘイブン対策税制】海外子会社の取締役会・株主総会はTV会議システムで行っても大丈夫?
タックスヘイブン対策税制の概要
国際税務で取り上げられることの多い『タックスヘイブン対策税制』。この税制は、税率の低い国への所得移転による租税回避を防止するために設けられたものです。
所定の要件に該当する外国子会社の所得について日本の税率で課税する、という税制です。
つまり、この税制の対象となる場合はシンガポール法人の所得に対しても日本の税率で課税されることになりますので、税務上のメリットを受けられないことになってしまいます。
ただし、「適用除外要件」を満たせば、一部の例外を除き、この税制の適用からは除外されることになります。低税率国であったとしても、ペーパーカンパニーではなく、実態をもってビジネスを行っているのであれば対象から除くことが「適用除外要件」が置かれている主旨になります。
詳細は弊社がFreee『経営ハッカー』に寄稿しました記事をご参照下さい。
適用除外要件の一つ『管理支配基準』
適用除外要件は4つありますが、その1つに「管理支配基準」というものがあります。
内国法人に係る特定外国子会社等がその本店又は主たる事務所の所在する国又は地域において、事業の管理、支配及び運営を自ら行っていること(管理支配基準)の判定は、当該特定外国子会社等の
①株主総会及び取締役会の開催
②役員としての職務執行
③会計帳簿の作成及び保管等が行われている場所
④その他の状況
を総合勘案して行うこととされています。
(参考)措置法通達66の6-16
①の通り、株主総会及び取締役会の開催がどこで行われているかもその判断の一部となっていることがわかります。
それでは、例えばシンガポールに子会社を設立、そのシンガポール子会社の株主総会及び取締役会について、日本にいる株主や取締役はTV会議システムで参加した場合は、この管理支配基準を満たさないことになってしまうのでしょうか。
TV会議システムを使用しても『管理支配基準』を満たす可能性がある
結論としては、TV会議システムを使用したことをもって、『管理支配基準』を満たさない、とは言えないということです。
つまり、取締役会や株主総会でTV会議システムを使用していたとしても、『管理支配基準』を満たす可能性があります。
以下、経済産業省が行った国税庁への照会が非常に参考になります。細かい前提条件などはこちらをご参照下さい。この照会への回答理由のところで記載されていますが、下記の要件を満たしているかどうかが重要になってきます。
✓ 開催案内の送付や議事録の作成など取締役会・株主総会に関連する業務が全て海外子会社で行われているか
✓ 議長は誰が務めているか(海外子会社の職務執行で一定の権限を有しているか)
✓ その議長は海外子会社の社内から参加しているか
経済産業省ウェブサイト『外国子会社合算税制の適用除外基準である管理支配基準の判定 (株主総会等のテレビ会議システム等の活用について)』
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