国際税務コラム

外国人(所得税申告)

在日大使館の外交官や職員【日本で所得税確定申告は必要か?】

《弊社での大使館職員等の確定申告代行サービス》

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  ※過去に所得税を納税してしまっている場合の還付:更正の請求(75,000円~

 

はじめに(大使館職員は所得税がかからない?)

弊事務所では外国人の確定申告を多く対応させて頂いており、よく在日大使館や領事館などに勤務している外国人の方から日本での所得税確定申告について相談を受けます。

 

「大使館職員等は所得税がかからない」と聞いたが本当か?などのご質問を多く受けます。

 

恐らくこの記事をご覧の方も「大使館職員は所得税が非課税になる」というのは本当なのか?と詳細を調べている方が多いのではないでしょうか。

 

大使館の職員等は毎月の給料から所得税が源泉されておらず、所得税は非課税なのだから確定申告は不要なのかと考えていらっしゃる方もいますが、実際はよく検討する必要があります。

 

結論から言いますと、主に日本国籍を有しているか、有していないかで大きく結論が変わってくることになります。

 

在日大使館の職員等の所得税が非課税になる要件とは?

 

在日大使館の職員等の所得税が非課税になるかどうかは、下記を見て判断することになります。

  1. 日本の所得税法
  2. 租税条約
  3. 外国関係に関するウィーン条約(以下、『外国関係ウィーン条約』)

 

※条約と日本の所得税法については原則として有利な方を適用できることになっています。

 

下記順に日本の所得税法、租税条約、外国関係ウィーン条約ではどのように規定されているかを見ていきます。

 

日本の所得税法

所得税法第9条1項8号

外交官や大使館職員等の所得税については、所得税法 第9条1項8号に規定されています。

 

第九条 次に掲げる所得については、所得税を課さない。

八 外国政府、外国の地方公共団体又は政令で定める国際機関に勤務する者で政令で定める要件を備えるものがその勤務により受ける俸給、給料、賃金、歳費、賞与及びこれらの性質を有する給与(外国政府又は外国の地方公共団体に勤務する者が受けるこれらの給与については、その外国がその国において勤務する日本国の国家公務員又は地方公務員で当該政令で定める要件に準ずる要件を備えるものが受けるこれらの給与について所得税に相当する税を課さない場合に限る。)

 

簡単に要約しますと、『政令で定める要件を備える場合には、大使館等に勤務する者の給与等は日本では非課税として取り扱う』、ということです。

 

所得税法施行令第24条

『政令で定める要件』については、さらに所得税法施行令第24条に規定されています。

 

第二十四条 法第九条第一項第八号(非課税所得)に規定する政令で定める要件は、外国政府又は外国の地方公共団体に勤務する者については次の各号に掲げる要件とし、前条第一項に規定する国際機関に勤務する者については第一号に掲げる要件とする。
 
一 その者が日本の国籍を有しない者であり、かつ、日本国に永住する許可を受けている者(日本国に長期にわたり在留することを認められている者を含む。)として財務省令で定めるものでないこと。
 
二 その者のその外国政府又は外国の地方公共団体のために行なう勤務が日本国又はその地方公共団体の行なう業務に準ずる業務で収益を目的としないものに係る勤務であること。

 

大使館の職員等の所得税が非課税になるためには下記の要件を両方満たす必要がある、ということになります。

  1. 日本の国籍を有しない者であること。
  2. 日本国に永住する許可を受けている者でないこと。

 

つまり、日本の所得税法において、日本人や永住権を持っている外国人については大使館の職員等であっても所得税が課税されるということになります。

 

 

なお、もう一つ重要な規定(厳密には法律ではありませんが)がありますのでご紹介します。

 

所得税法基本通達9-11

9-11(人的非課税) 国内に居住する外国の大使、公使及び外交官である大公使館員並びにこれらの配偶者に対しては、課税しないものとする。

 

『外交官』などに対しては日本では一切課税しませんよ、という基本通達です。ただし、これは外国の大使、公使、外交官とその配偶者のみに適用されるもので、大使館の職員等には適用されません

 

以下、租税条約及びウィーン条約の規定についてです。

 

租税条約(参考:日本・シンガポール租税条約)

日本・シンガポール租税条約では下記の通り規定されています。

 

日星租税条約 第19条(政府職員)
1⒜  政府の職務の遂行として一方の締約国又は当該一方の締約国の地方公共団体に対し提
供される役務につき、個人に対し当該一方の締約国又は当該一方の締約国の地方公共団
体によって支払われる報酬(退職年金を除く。)に対しては、当該一方の締約国におい
てのみ租税を課することができる。

⒝ もっとも、当該役務が他方の締約国内において提供され、かつ、⒜の個人が次のⅰ又
はⅱに該当する当該他方の締約国の居住者である場合には、その報酬に対しては、当該
他方の締約国においてのみ租税を課することができる。
 ⅰ 当該他方の締約国の国民
 ⅱ 専ら当該役務を提供するため当該他方の締約国の居住者となった者でないもの

 

つまり、下記の両方を満たす場合には日本では非課税ということになります。

 

  1. 日本の国民でなく、かつ、
  2. 専ら当該役務を提供するために日本の居住者となった者であること

 

外国関係ウィーン条約

最後に『外国関係ウィーン条約』を見ていきます。

 

外国関係ウィーン条約では大きく分けて下記2つのカテゴリーごとに規定されています。

  1. 外交官、外交職員
  2. 事務職員、技術職員、役務職員

 

外国関係ウィーン条約(外交官、外交職員)

外国関係ウィーン条約第34条において、外交官(使節団の長だけでなく、外交職員を含む)の租税について規定されています。

 

第三十四条 外交官は、次のものを除くほか、人、動産又は不動産に関し、国又は地方公共団体のすべての賦課金及び租税を免除される。

  • 商品又は役務の価格に通常含められるような間接税
  • 接受国の領域内にある個人の不動産に対する賦課金及び租税(その外交官が使節団の目的のため派遣国に代わって保有する不動産に対する賦課金及び租税を含まない。)
  • 第三十九条4の規定に従うことを条件として、接受国によつて課される遺産税又は相続税
  • 接受国内に源泉がある個人的所得に対する賦課金及び租税並びに接受国内の商業上の企業への投資に対する資本税
  • 給付された特定の役務に対する課徴金
  • 第二十三条の規定に従うことを条件として、登録税、裁判所手数料若しくは記録手数料、担保税又は印紙税であって、不動産に関するもの

 

つまり、外交官(使節団の長だけでなく、外交職員を含む)については、全ての租税(上記リストアップされている間接税などの特定の租税を除く)が免除されます。

 

外国関係ウィーン条約(事務職員、技術職員、役務職員)

外国関係ウィーン条約第37条1項において事務職員、技術職員の租税について、第37条2項において役務職員の租税について規定されています。

 

第三十七条
2 使節団の事務及び技術職員並びにその家族の構成員でその世帯に属するものは、接受国の国民でない場合又は接受国に通常居住していない場合には、第二十九条から第三十五条までに規定する特権及び免除を享有する。ただし、第三十一条1に規定する接受国の民事裁判権及び行政裁判権からの免除は、その者が公の任務の範囲外で行なった行為には及ばない。前記の者は、また、最初の到着にあたって輸入する物品について、第三十六条1に規定する特権を享有する。

3 使節団の役務職員であって、接受国の国民でないもの又は接受国に通常居住していないものは、その公の任務の遂行にあたって行なった行為についての裁判権からの免除、自己が雇用されていることによって受ける報酬に対する賦課金及び租税の免除並びに第三十三条に規定する免除を享有する。

 

事務職員・技術職員については、上記条件を満たす場合、外交官同様に全ての租税(特定の租税を除く)が免除されます。

また、役務職員についても、上記条件を満たす場合、自己が雇用されていることによって受ける報酬に対する賦課金及び租税が免除されており、つまり大使館からの給与・報酬は非課税となります。

 

大使館の職員等の所得税確定申告(日本人の場合)

上記の通り、日本人である場合には国内法でも租税条約でも外国関係ウィーン条約でも非課税の対象にはなりませんので、原則として、日本で所得税が課税されることになります。

 

従って、毎月の給料については源泉徴収がされていないため、確定申告を行う必要があります。

 

大使館の職員等の所得税確定申告(外国人の場合)

厳密には国内法、租税条約、外国関係のウィーン条約を見て最終的な課税関係を判断することになりますが、基本的には大使館からの給与については日本では非課税になるケースが多いと考えられますが、外国人の場合は専門家に個別にご相談頂くことをお勧め致します。

 

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