【シンガポール租税条約】アメリカ・ミャンマーとの相性は?
租税条約のメリット(概要)
国際税務のひとつ、【シンガポールにおける租税条約】について紹介致します。
シンガポールが租税条約を締結している国はかなり多く、統括会社としてのメリットを活かしやすいと言われている理由の一つでもあります。
租税条約のメリットとは?
シンガポール法人がA国に100%子会社を持っており、シンガポールとA国との間で租税条約が締結されているとします。その100%子会社からシンガポール法人に配当を行う場合、A国の国内法では20%の源泉が必要とされるとします。 そこで、もし租税条約に『配当源泉は10%が限度』と規定されているとします。 その場合はA国の国内法よりも租税条約が優先されて源泉は10%のみでよいということがあります。
つまり、源泉税率が優遇される可能性があるということであり、キャッシュフローの観点からもメリットがあるといえます。
シンガポールとアメリカの間には租税条約がない?
上記で見てきた通り、国をまたぐ取引を行う場合は租税条約が重要になってきます。シンガポールの租税条約で留意すべき点は「アメリカ」です。
シンガポールとアメリカとの間に租税条約がありません。
シンガポール法人がアメリカ子会社から配当を受ける場合、アメリカ国内法では配当の額の30%の源泉徴収が必要とされています。シンガポールとアメリカには租税条約はありませんので、減免はなく、その30%が適用されることになります。
一方で、日本はアメリカと租税条約を結んでいます。租税条約では、原則として50%超の保有関係のある子会社からの配当は0%と規定されています。つまり、アメリカの国内法ではなく、この租税条約の0%が適用されることになり、アメリカで源泉されることはありません。
ほかにも色々な観点から検討する必要はありますが、アメリカ子会社をわざわざシンガポール統括会社の下に移すメリットはなさそうだ、、という理由にもなります。
ミャンマーへの投資を考えた場合はどちらが有利か?
逆にシンガポールはミャンマーと租税条約を結んでいます。
しかし、日本とミャンマーの間に租税条約がありません。つまり、このような場合は日本からミャンマーに直接投資するよりも、シンガポールに統括会社を作って、そこからミャンマーに投資することも選択肢のひとつとして検討すべき、ということになります。
カンボジアへの投資は?
日本とカンボジアには租税条約はありませんが、シンガポールとカンボジア間では既に租税条約について合意しています(効力はまだありません)。
ミャンマーと同様、カンボジアへの投資についても今後はシンガポールを経由する方が良い可能性があります。
このように日本と租税条約を結んでいる国と、シンガポールと租税条約を結んでいる国は異なっていますので、スキームを考える際には必ず確認する必要があります。
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