シンガポール雇用法適用範囲の拡大 (見込み)
シンガポール雇用法の改正 (見込み)
専門職(Professionals)、管理職(Managers)、経営幹部(Executives)-以下、PMEs-の増加に伴い、雇用法に関する重大な改正について、2018年3月5日、人材省「以下、MOM (Ministry of Manpower)」のリム氏より発表がありました。
PMEsについては、これまで原則として、月給4,500ドル以下の者のみが雇用法の適用対象となっていましたが、増加するPMEsの不当解雇などのトラブルに対応すべく、2019年4月1日より、月給の額に関わらず、すべてのPMEsに雇用法が適用される見込みです。詳細は確定したら改めて発表がある予定ですので、今後も注視していく必要があります。
もしこの改正が実際に履行されることになると、PMEsを含む全ての労働者に本雇用法が適用されることになります(注¹)。
以下はこの改正における重要な変更事項と雇用者と労働者に与える影響について考察したものです。
注¹:家事使用人、船員、法定機関・政府機関で働く方は従来通り適用対象となりません。
雇用法における重要な変更事項 (見込み)
これまで本雇用法の対象外であったPMEsは、自身の雇用契約の条項にある保証しか受けることが出来ませんでしたが、改正後は、以下を含む様々な利益を享受できるようになります。
・最低7日間の年次休暇
・11日間の公休日の有給休暇
・14日間の有給病気休暇と60日間の有給入院休暇
・出産休暇と育児休暇
・不当解雇からの保護
・給与の保護
PMEsも給与明細や雇用契約書の発行の対象に
また現行では月給4,500ドル以下の労働者に対してのみ給与明細や雇用契約書の発行が義務付けられていますが、雇用法が改正されると2019年4月1日以降、PMEs社員に対しても発行が義務付けられます。
PMEs社員にとっても自身の雇用条件、給与、手当についてよりよく理解できる手助けになり、不当解雇などのトラブル回避に繋がることが期待されています。
なお、雇用契約書に関しては、法令では「雇用開始から14日以内に提供すること」とされていますが、MOMは「雇用開始前に提供すること」を推奨しています。
※雇用契約書や給与明細についてご不明な点等ございましたら、お気軽に弊社シンガポール事務所までお問合せください。
執筆者:Taeka Kikui
本記事は2018年4月28日時点の情報ですのでご留意ください。