国際税務コラム

シンガポール雇用法・ビザ

シンガポール「ウォッチリスト」に約500社、就労ビザ取得への影響も

年々増加する「ウォッチリスト」対象企業

2018年3月5日、自国民の採用や育成に消極的で同国経済・社会との関連性が薄い企業などを指定する「ウォッチリスト」にあげられた企業が過去2年間で500社を上回ったとMOMのリム氏より発表がありました。

 

2016年から導入されて以来、この「ウォッチリスト」に該当する企業に対し、シンガポール政府は改善を求める通知書を送付するなど様々な対策をとってきましたが、これを受けて政府は今後シンガポール国内の労働力を更に積極的に保護しつつ促進をしていく方針です。

 

就労ビザにも多大な影響が

実際、この「ウォッチリスト」にあがっている企業が行ったビザ申請が不許可になるケースも発生しており、ビザ取得にも多大な影響が出ています。

 

この500社には情報技術、金融、国際貿易、人材紹介会社など、ビジネスの対象が外国人の傾向にある企業が多く存在すると言われています。

 

「ウォッチリスト」に入らないために

万が一この「ウォッチリスト」に入ってしまった場合でも堅実に採用方法の見直しや研修改善などを行っていれば、リストから外してもらえる可能性もあるようですが、一番理想的なのは最初から「ウォッチリスト」に仲間入りしないことでしょう。

 

このためには、自社の人事や採用方法がシンガポール政府から見て国籍による差別的なものでないかを常に意識していくことが必要と言えます。

 

MOMから指摘される前に早めの対策を

もし就労ビザの審査の過程でMOMから人事組織図や今後の人事計画書を求められた場合は、改善の余地があるのではと疑われている可能性がありますので注意が必要です。

 

改善が見られない場合は、就労ビザの取得がさらに困難になる恐れがありますので、早い対策が必要と言えるでしょう。

 

 

執筆者:Taeka Kikui

 

本記事は2018年4月28日の時点の記事ですのでご留意ください。