国際税務コラム

シンガポール雇用法・ビザ

シンガポールで就労ビザが必要になるケース ~不法就労にならないために~

シンガポールにおける就労ビザの定義

シンガポールでは一部例外はありますが、報酬の有無及び期間の長短に関わらず、ビザなしの就労は禁じられています。

 

活動の内容によって就労ビザの要否が異なってきますので、まずは目的が単なる商用なのか、それとも就労にあたるのかを見極めることが重要です。

 

また、国によって商用活動の範囲も違いますのでご注意ください。

 

商用活動の範囲(ビザなしでも活動できるケース)

日本国籍の方が商用目的でシンガポールに入国する場合には、観光客と同様Social Visit Pass(日本で言う短期滞在ビザ)が付与されます。

 

空路での入国であれば30日の滞在許可が認められるのが通常で、以下のような活動であれば、たとえ報酬が支払われていたとしても例外的にビザなしで活動できます。

 

・社内ミーティング (シンガポールに拠点があるケース)

・シンガポールの取引先とのミーティング

・事業開始のための視察、セミナー、ワークショップ、会議への参加

・情報取集等を目的にゲストとして展示会に参加

・法人設立の準備

 

30日間の延長申請を行うこともできる

目的が本国の業務の一環で行われるもの、シンガポール進出のための準備程度であれば概ね商用活動とみなされます。

 

30日の期間を超えて上記活動を続ける場合には、一回に限り延長申請ができ、認められれば新たに30日の滞在許可がもらえます。

 

ただし、延長の可否はICA移民局の判断によりますので予めご了承ください。

 

申請はICAのサイトから遅くとも滞在期限の2日営業日までに行う必要があります。

 

ICAウェブサイト

*ICA 在留案件を扱うシンガポール政府機関。就労案件を扱うMOMと管轄が違うのでご注意ください。

 

上記の活動も繰り返し行っている場合には注意が必要

上記活動でも長期的に出入国を繰り返したり、通算してシンガポール滞在期間が長くなると、活動の目的を疑われ入国を拒否されるリスクが高まりますので注意が必要です。

 

いざ就労ビザを申請してみたら不許可になってしまったということにもなりかねませんので、必要に応じて商用目的を証明するレターを準備したり、既にシンガポールに拠点がある場合は就労ビザを取得する等、状況にあった対策をとることをお勧めいたします。

 

就労ビザ免除活動(ただしMOMへの届出は必須)

Work Pass Exempt Activitiesは就労ビザが免除される活動です。

 

事前にMOMから承認を得られれば、指定されている活動の範囲内で最大で30日間ビザなしで活動が可能になります。

 

延長が必要な際はSocial Visit Passの延長が認められた場合のみ行えます。

注:届出を怠ると不法就労とみなされ処罰の対象になりますのでご留意ください。

 

要件を満たせば、これからシンガポール進出を検討されている、もしくは自社のインバウンド事業をPRしたいとお考えの方にとってはメリットになるかもしれません。

 

特に専門知識・専門技術の導入や文化交流に関してはシンガポール政府も受け入れに積極的です。

 

以下がWork Pass Exempt Activitiesの一覧です。

 

・仲裁・調停サービス

・展示会出展

・司法法的業務

・ジャンケット活動

・撮影やファッションショー開催関連

・専門知識・特殊専門技術の提供

・セミナーや会議開催

・旅行ツアー補助関連

・ジャーナリズム関連 (政府や公共機関による支援があるもの)

・音楽やダンスなどのパフォーマンス関連 (政府や公共機関による支援があるもの)

・スポーツ競技イベント、トレーニング関連 (政府や公共機関による支援があるもの)

 

活動内容の詳細についてはMOMウェブサイトをご参照ください。

 

短期間の業務でも就労ビザが必要なケース

たとえ短期間の就労であっても、シンガポールにある企業と何らかの契約がある場合は就労ビザが必要になります。通常の雇用契約だけでなく、業務委託契約についても同様です。

 

これ以外にも、日本の本社からシンガポール子会社に出向し、研修や引き継ぎを行う場合も原則必要です。

 

審査は通常の就労ビザと同様、会社と申請者双方が審査対象になり約3週間要します。

追加資料の提出を求められた場合にはさらにかかりますので、余裕を持って申請を行うことをお勧めいたします。

 

 

執筆者:Taeka Kikui

 

※本記事は2018年1月28日時点の情報ですのでご留意ください。