国際税務コラム

国外転出時課税(出国税)

仮想通貨は国外転出時課税(出国税)の対象資産に含まれるか?

仮想通貨は国外転出時課税の対象になるか?

最近では弊社でも仮想通貨の含み益が数億になってしまいこのままでは日本で最大55%の課税がされてしまうため、海外への移住を検討している、といったご相談が多く寄せられております。

 

様々なことを検討する必要がありますが、よくある質問の一つに「仮想通貨は国外転出時課税の対象にならないという理解で大丈夫か?」というものがございます。

 

まずは国外転出時課税の対象者を確認する必要があります。

 

国外転出時課税の概要と納税猶予についてはこちらをご覧下さい。

 

国外転出時課税の対象者

国外転出時において、⑴及び⑵のいずれにも該当する居住者が、国外転出時課税の対象者となります。

 

⑴ 所有等している『対象資産』の価額の合計が1億円以上であること。
⑵ 原則として国外転出をする日前10年以内において国内に5年を超えて住所又は居所を有していること。

 

つまり、日本にずっと住んでいらっしゃる方であれば、『対象資産』を1億円以上持っていなければ対象者にはならないということになりますので、『対象資産』が重要になります。

 

国外転出時課税の対象資産

国外転出時課税の対象資産は所得税法60条の2に規定されていますが、対象資産は下記の通りです。

 

① 有価証券(株式や投資信託など※)

② 匿名組合契約の出資の持分

③ 未決済の信用取引・発行日取引(発行日取引とは有価証券が発行される前にその有価証券の売買を行う取引であつて財務省令で定める取引をいう。)

④ 未決済のデリバティブ取引(先物取引、オプション取引など)

 

※ 対象資産の有価証券の範囲から次に掲げる有価証券で国内源泉所得を生ずべきものを除きます。
A 特定譲渡制限付株式等で譲渡についての制限が解除されていないもの
B 株式を無償又は有利な価額により取得することができる一定の権利で、その権利を行使したならば経済的な利益として課税されるものを表示する有価証券

 

対象資産は上記の通り限定列挙されていますが、仮想通貨は含まれておりません。

つまり、現行法(2018年1月5日時点)においては、いわゆる仮想通貨は国外転出時課税の対象資産にはならないと考えられます。

 

ただし、仮想通貨は日々進化していますし、様々なタイプの仮想通貨が出てくるでしょうから、国外転出時課税の対象資産にならないかどうかは仮想通貨の種類ごとに、また最新の法令・情報をもとに判断していく必要があると言えます。

 

なお、移住による仮想通貨の売却は課税関係が複雑になりますので、必ず専門家にご相談頂くことをお勧め致します。

 

※お電話での無料相談は行っておりません。有料によるご相談をご希望の方は恐れ入りますが、お問い合わせフォームよりご連絡をお願い致します。

 

※本記事は2018年1月5日現在の法令に基づいております。