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シンガポール現地法人を休眠会社とした場合のメリット

シンガポール会社法における休眠会社は会計監査が免除される

シンガポール会社法205B条では、下記のいずれかの条件を満たす会社は会計監査が免除される、と規定されています。

・ 会社設立時から休眠状態(Dormant)であること。

・ 前会計期間の末日以降休眠状態(Dormant)であること。

 
 

休眠状態(Dormant)とは?

上記の通り、休眠状態(Dormant)であるかどうかが重要になりますが、シンガポール会社法では下記の通り規定されています。

 

『A company is dormant during a period in which no accounting transaction occurs』

 

つまり、会計取引が一切発生していない状態を『休眠』と定義づけています。

ただし、下記の取引については会計取引から除かれていますので、これらの取引については発生していても休眠に該当することになります。

(a) 定款に従った株式の引受け
(b) カンパニーセクレタリーの選任
(c) 会計監査人の選任
(d) 登記住所の維持
(e) 登記書類及び会計帳簿の維持
(f) 会社法に基づく登記手数料や罰金等の支払い
 
 

決算書の作成も免除されるが、年次株主総会は免除されない

上記の通り、今まで休眠会社は会計監査は免除されることになりますが、決算書の作成は免除されていませんでした。

しかし、2016年1月に行われたシンガポール会社法改正に伴い、2016年1月3日以降に終了する事業年度については休眠会社は決算書の作成も免除されることになります。

ただし、AGM(年次株主総会)の開催及びAnnual Returns(年次報告書)の提出は免除されていませんので、従前通り行う必要があります。

 

法人税の申告も免除される場合とは?

下記の要件を全て満たす場合には、法人税の申告(Form CS / C)が免除されます。

なお、免除を受けるためには免除申請の手続きを行う必要があるため注意が必要です。

 

① 当該賦課年度において一切事業を行っておらず、かつ、売上がないこと。

② 投資資産(株式、不動産、定期預金など)を保有していないこと。

③ GST登録事業者はGSTの登録解除を行っていること。

④ 2年以内に再度事業を再開する意図がないこと。

 

簡易精算(ストライク・オフ)との比較

会社を作ったものの軌道に乗らずに撤退を考えるケースを想定しておく必要がありますが、選択肢として他社に会社を売却する以外には、休眠会社とするか、清算を行うかになってくるかと思います。

上記の通り、休眠会社とした場合は要件を満たせば、会計監査・決算書の作成・法人税申告が免除されるため、会計業務に係る費用はかからない可能性があります。

ただし、居住取締役やカンパニーセクレタリ―に係る費用は生じてきますので、その点注意が必要です。

一方で、今後一切事業を再開しない場合には上記のような維持費もかかってしまうため、その場合は『清算』が考えられます。

清算にもいくつか種類がありますが、会社が空っぽの状態であれば『簡易清算(ストライク・オフ)』を行える可能性があります。ストライク・オフの詳細は下記をご覧下さい。

シンガポール現地法人の簡易的清算手続き『ストライク・オフ』とは?