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【外資系子会社は要注意】過少資本税制・過大支払利子税制とは?

借入金・資本金どちらにするべきか?

アメリカやシンガポールなど外国に親会社があり、その子会社として日本に法人を設立している場合、その日本にある子会社が事業資金を資本金として送ってもらうか、もしくは借入金として送ってもらうかどうかは税務上の観点から非常に注意をして決定する必要があります。

支払利息を日本法人側でできるだけ多く損金処理できれば、利益を圧縮することになり節税に繋がると考え、ほとんどを借入金として送金してもらっているケースもあります。

支払利息の金額の妥当性は『移転価格税制』、また支払利息に係る源泉所得税については『租税条約の適用の検討』について注意が必要である点は、以前の記事でも触れました。詳細は下記の記事をご参照下さい。

シンガポール子会社への出資形態【資本金と貸付金の違い】

 

外資系子会社が外国の親会社から借入金として送金してもらう場合も、『移転価格税制』や『租税条約の適用の検討』について注意が必要になります。

外資系子会社の場合は、さらに注意すべき税制として『過少資本税制』と『過大支払利子税制』があります。

まずは、そのうち『過少資本税制』の概要についてご説明します。

 

外資系子会社は要注意の過少資本税制とは?

出資に対する配当は損金算入されない一方で借入金に係る支払利子は損金算入されることを利用した、行き過ぎた節税を防止する税制として『過少資本税制』があります。

『過少資本税制』とは、海外の関連企業との間において、出資に代えて借入を多くすることによる税負担の軽減を防止するために、一定の割合(原則として、外国親会社等の資本持分の3倍)を超える部分の【国外支配株主等】に対する支払利子の損金算入を認めないこととする税制です。

租税回避の流れがよくわかる図解が財務省ホームページにありますので、ご参照ください。

財務省ウェブサイト『過少資本税制の仕組み(図解)』

 

過少資本税制の適用がある場合

下記の①及び②がいずれも3倍を超える場合に適用されます。

① 国外支配株主等及び資金供与者に係る平均負債残高 / 国外支配株主等の資本持分

② 総負債の平均残高 / 自己資本の額

 

※ 国外支配株主等とは、非居住者や外国法人に発行済株式数又は出資金額の50%以上を直接又は間接に保有されているケースの他に、兄弟会社、さらには実際の保有比率に拠らない「実質的支配関係」がある場合も含まれます。

 

実際の損金不算入額の計算方法については割愛しますが、外国親会社から借入がある場合には、過少資本税制の適用がないかどうか常にモニタリングしておく必要があると言えます。

また、過少資本税制の適用がなかったとしても、『過大支払利子税制』についても注意が必要です。

次にその『過大支払利子税制』の概要について見ていきたいと思います。

 

過大支払利子税制とは?

過少資本税制と合わせて注意が必要な税制として『過大支払利子税制』があります。

米国など諸外国でも同様の制度としてアーニング・ストリッピング・ルール(Earning Stripping Rule)というものがあることから、【日本版アーニング・ストリッピング・ルール】と呼ばれることもあります。

『過大支払利子税制』とは、関連者間の借入を恣意的に操作して、過大な支払利子を損金に計上することにより日本での税負担を軽減しようとする租税回避行為を防止するための税制です。

関連者に対する純支払利子等の額が、当該事業年度の調整所得金額(当期の所得金額をベースに一定の調整を加えた金額)の一定割合(50%)を超えるときは、その超える部分の金額に相当する金額は損金算入できない、という規定です。

算式で表すと、下記の通りになります。

(算式) 損金不算入額 = 関連者純支払利子等の額 – (調整所得金額 x 50%) 

 

関連者、純支払利子等の概要は下記の通りです。

関連者 : 直接・間接の持分割合50%以上又は実質支配・被支配関係にある者及びこれらの者による債務保証を受けた第三者等

純支払利子等 : 関連者への支払利子等の額(利子等の受領者側で我が国の法人税の課税所得に算入されるものを除く。)からこれに対応する受取利子等の額を控除した金額

なお、この制度により損金算入されなかった金額については、翌事業年度以後、7年間繰り越して一定限度額まで損金算入することができます。

財務省ウェブサイト『過大支払利子税制の仕組み(図解)』

 

過大支払利子税制の適用除外基準

次のいずれかに該当する場合には、過大支払利子税制は適用されません。

① その事業年度における関連者純支払利子等の額が1,000万円以下であること。

② その事業年度における関連者支払利子等の額の合計額が総支払利子等の額の50%以下であること。ただし、総支払利子等の額には、連結グループ内法人への支払利子等の額・関連者等の課税対象所得に含まれる支払利子等の額は含まれません。

 

それぞれの税制の関係

過少資本税制、過大支払利子税制、さらには移転価格税制が競合した場合、日本ではまず移転価格税制を適用することになります。

また、過大支払利子税制と過少資本税制の両方が適用されることになる場合、それぞれ計算された損金不算入額のうち、いずれか多い金額を損金不算入額とすることになります。

それぞれの損金不算入額の計算についての詳細説明は割愛させて頂きましたが、外資系子会社が外国の親会社から借入をする場合には、移転価格税制や租税条約の適用可否の他に、日本の国内法である『過少資本税制』や『過大支払利子税制』の適用の有無についても常にモニタリングすることが重要と言えます。

 

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