シンガポール法人・シンガポール居住者から日本国内にある土地・建物を購入する場合の源泉所得税

非居住者等から日本国内にある土地・建物を購入する場合

シンガポール法人又はシンガポール居住者から日本国内にある不動産(土地・建物)を購入する場合の源泉徴収はどのようになるのでしょうか。

2国間にまたがる「国際税務」であるため、日本の国内法に加えて、日本・シンガポール租税条約も確認する必要があります。まずは、日本の国内法を確認したいと思います。

 

日本の所得税法(原則)

日本の所得税法上は、非居住者や外国法人(以下、「非居住者等」)から日本国内にある土地等を購入して、その譲渡対価を国内で支払う者は、非居住者等に対して対価を支払う際に、10.21%の税率で、所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません。

日本国内にある「土地等」には、土地の他、土地の上に存する権利、建物及びその付属設備、構築物が含まれます。ただし、鉱業権(租鉱権及び採石権その他土石を採掘し又は採取する権利を含む。)、温泉を利用する権利、借家権及び土石(砂)などは含まれません。

なお、この場合の源泉徴収義務者は「土地等の譲渡対価の支払をする者」であるため、給与の支払者であるかどうかは問わず、一般のサラリーマンなども非居住者等に対して土地等の譲渡対価を支払った場合には、原則として源泉徴収義務者になるため、注意が必要です。

 

日本の所得税法(例外)

ただし、個人の方が自己又はその親族の居住の用に供するために、非居住者等から土地等を購入した場合であって、その土地等の譲渡対価が1億円以下である場合には、その個人の方は、源泉徴収をしなくてもよいことになっています。

なお、1億円を超えるかどうかの判定に当たっては、例えば、当該土地等を居住の用と居住の用以外の用とに供するために譲り受けた個人から支払われるものである場合には、居住の用に供する部分に係る対価の金額及び居住の用以外の用に供する部分に係る対価の金額の合計額により判定することになっているため、注意が必要です。

 

日星租税条約の取扱い

次に日本・シンガポール租税条約の規定を確認したいと思います。

日本・シンガポール租税条約第13条において、下記の通り、土地等の不動産の譲渡対価について、不動産の所在する国においても課税できるとする規定が置かれています。つまり、日本に所在する土地等については日本でも課税できることになります。

第13条(譲渡収益)1. 一方の締約国の居住者が第6条に規定する不動産で他方の締約国内に存在するものの譲渡によって取得する収益に対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる。(2.以下省略)

 

結論

非居住者等が国内にある不動産を譲渡した場合には、日本・シンガポール租税条約において、その譲渡により生じる所得について、日本で課税できることになっていますので、日本の所得税法の規定に従って、源泉徴収をする必要がある、という結論になります。

なお、わかりやすくするため、シンガポールを例に説明していますが、シンガポール以外の国との租税条約においても、日本で課税できることになっていますので、結論は同じになると考えられます。

 

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