『適格現物出資』はシンガポール法人に対しても使えるか?

現物出資とは?

シンガポール法人設立時に話題にあがることもある『現物出資』についてご紹介したいと思います。

『現物出資』自体は国際税務に限ったことではありませんが、国際税務の基礎としても重要になってきます。

現物出資とは、金銭以外の財産をもって行う増資のことです。

通常、シンガポール法人を設立して『増資』というと金銭を振り込んで、その対価として株式を発行してもらうことになりますが、現物出資は金銭ではなくモノになります。

 

法人税法上の適格現物出資とは?

日本の税務上、適格要件を満たせば適格現物出資として取り扱うことができます。

適格現物出資に該当すれば、
金銭以外の財産を出資することになりますが、これらの財産を簿価で譲渡したものとすることができます。

つまり、通常であれば財産を時価で譲渡したと考えて現物出資時に譲渡益課税がされてしまう可能性がありますが、適格現物出資に該当すれば簿価で譲渡したことになる、つまり譲渡益について課税が繰延べられることになります。

 

適格現物出資の要件

この適格現物出資の要件は状況に応じて細かく設定されていますが、

例えば、100%子会社との間での現物出資であれば下記のような要件になります。

①現物出資後も完全支配関係が継続
②対価として株式のみが交付されること

②についてですが、対価として株式の交付以外に金銭の交付があれば、原則として適格要件を満たさないことになります。

 

適格現物出資をシンガポール法人に対して使えるか?

この適格現物出資をシンガポール法人に対して使えるか?という話がシンガポール法人設立時に出ることがあります。

つまり、シンガポール子会社に出資をする際に既に所有している他の会社の株式をシンガポール法人に譲渡して、その対価として株式を発行してもらう。

このような場合に、『適格現物出資』として認められるかどうかです。

 

適格現物出資が重要になる事例

例えば、日本法人が100%インドネシア子会社を保有しているとします。

さらにシンガポール子会社の設立をしたとします (つまり、日本法人は100%子会社をシンガポールとインドネシアに保有していることになります)。

日本法人がシンガポール法人に出資する際に、インドネシア子会社株式をシンガポール法人に譲渡、その対価としてシンガポール法人が株式を日本本社に発行します (いわゆる、現物出資)。

その結果、日本本社の子会社はシンガポール法人のみ、そして孫会社がインドネシア法人というストラクチャーに変わります。

従って、シンガポール統括会社を作る際にはよく使われる手法になります。

そして、一番重要なのはこの現物出資が『適格現物出資』に該当するかどうかです。

該当しなければ、上記の例ですと、日本本社がインドネシア子会社株式を時価でシンガポール法人に譲渡したこととされ、譲渡益に対して課税される可能性が出てきます。

 

クロスボーダーの場合の適格現物出資の要件

適用要件を良く見ていきますと、

下記の場合は適格現物出資から除かれる、と規定されています。

《外国法人に対する国内にある事業所に属する資産又は負債 (外国法人の発行済株式等の総数の25%以上を有する場合のその外国法人の株式を除く。)の移転》

とてもわかりづらいですが、
つまり、外国法人に対する現物出資は原則として適格現物出資には該当しません。

ただし、カッコ内に記載の通り、

(外国法人の発行済株式等の総数の25%以上を有する場合のその外国法人の株式を除く。)

となっていますので、外国法人に対して25%以上保有の外国法人株式を現物出資する場合には、適用除外から除かれているので、先程の例であれば適格現物出資に該当する可能性があるということになります。

 

シンガポール子会社への現物出資は適格現物出資になり得る

条文はわかりづらいですが、
『適格現物出資』になる可能性はある、というのが結論になります。
他にも細かい要件がありますので、慎重に検討して頂く必要があります。

 

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