国際税務コラム

国際税務

シンガポール法人から日本居住の取締役が役員報酬を受け取ったら?

シンガポール法人の取締役の居住地

シンガポール法人の取締役はどこに住んでいる人でもなれます。

シンガポール居住取締役が必ず一人は必要になりますが、それさえ満たしていればそれ以外の取締役はどこに住んでいても構いません。

 

日本居住の取締役がシンガポール法人から受け取る役員報酬

上記の通り、シンガポール法人の取締役は必ずしも全員がシンガポール居住とは限りません。日本に居住しているということも、もちろんあり得ます。

では、シンガポール法人の取締役 (日本居住)が、シンガポール法人から役員報酬を受け取った場合、日本・シンガポールでの所得税の課税関係はどうなるのでしょうか。

二国間にまたがるため、国際税務の知識が少し必要になります。

 

シンガポールでの課税

この場合、日本での課税とシンガポールでの課税について、『租税条約』を考慮しながら検討する必要があります。

日本・シンガポール租税条約では役員報酬について下記の通り、規定されています。

『一方の締約国の居住者が他方の締約国の居住者である法人の役員の資格で取得する役員報酬その他これに類する支払金に対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる。』

つまり、シンガポール法人から支払われる役員報酬はシンガポールで課税できることになります。

具体的には、シンガポール国内法に基づき、シンガポールで20%(2016年1月1日以降は22%)源泉され、残りの80%が本人に支払われます。

 

日本での課税

一方で、日本の所得税法では日本居住者(非永住者以外の居住者) は『全世界所得課税』のため、シンガポール法人から支払われる役員報酬も課税所得として、日本で所得税が課税されます。

ただし、シンガポールで源泉された20%(2016年1月1日以降は22%)分については外国税額控除の適用を受けることができます。

この逆の場合『日本法人からシンガポール居住の取締役が役員報酬を受け取った場合』は取り扱いが異なりますので、ご留意下さい。

 

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